賢い資産運用はあなたの〝必需品″

賢い資産運用--11年前、平成18年ごろ、このコンテンツを当HPで掲載しました、現在平成29年になって、低金利は当時と変わらない環境下にあります。さて、11年前の時代と、11年後の現在とどのように時代が変わったのでしょうか。興味のある方は読み比べてみてください。

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■賢い資産運用はあなたの〝必需品″になつた

いま日本には投資を誘うさまざまな情報があふれています。でも、日本人がお金の運用法について、いまのように強い関心を持ちはじめたのはいつごろからなのでしょうか。実はそれほど古い話ではないのです。

もちろん、もともとお金そのものが嫌いという人はめったにいないでしょうし、お金への興味はみんな昔から大いに持っていたことでしょう。基本的に衣食住の生活をお金でまかなっていく資本主義社会、市場経済社会に生きている以上、それは当然のことです。

しかし、思い出してもらいたいのです。老いも若きも日本中が浮かれた1980年代末の「バブル経済」華やかなりしころでさえ、金融情報は現在に比べれば問題にならないほど少 なかったのです。大部分の人は、ロケットのように急上昇する土地価格や株価を横目に見ながら、「どの預金、貯金が有利なんだろう。定期預金なのか、それとも定額貯金か」などと考えていたのがせいぜいのところではなかったでしょうか。 そういう具合で、お金の運用法への関心が預貯金の枠を超えていろいろな方面に広がったのは、1990年代後半からといっていいと思います。この変化はとうぜん日本の社会と経済の変化を背景にして起こつてきたわけですが、とにかく、そういう意外に浅い歴史しかない〝投資ブーム″なのですから、簡単に踊らされて思わぬ損をしないためにも、まず第一歩としてこの日本社会の変化について考えてみたいと思います。

〝失われた10年″。バブル崩壊から21世紀初頭までの日本の10年間について、この情けない言い方がすっかり定着してしまいました。アメリカを中心に、その是非はともあれ〝ニューぽつこうエコノミー″と〝IT革命″が勃興した重要なこの期間が、日本にとっては残念ながら空洞の10年間、無為な10年間になってしまったというわけです。

しかし、この10年は同時に、日本人の多くが否応もなく「変化」に気づきはじめた時代でもありました。それは、戦後ほぼ一貫して上昇を続けてきた日本経済のいくつかの指標が、この前後に代わるがわるピークに達しては下降しはじめたという、ドラスティックな転換があったことと密接に関連しています。 株価、円の為替レート、国内総生産(GDP)という最も顕著だったそれらの数字の変化をざっと見てみましょう。まず指標の一つ目の株価では、日経平均株価の3万8915円という数字がレコードとして残っています。バブル全盛の1989年12月29日の終値です。70年代6500円程度だった平均株価は80年代に上昇を続け、ついにこの高値に達しました。しかし、4万円突破も時間の問題と誰もが思った瞬間、情勢は一転し、あとはごぞんじの通り。 ときおりの一時的上昇はあったものの下降線をたどって現在に至っています。 次の数字は、95年4月に記録した為替レートの1ドル=80円(正確には79・75円) です。 80年代初頭に1ドル=230円~250円前後だった円ドルレートは、アメリカの不況とドル危機を立て直すため、85年に主要各国が共同してドル安政策をとったことから、円は短期間で1ドル=120円前後にまで急上昇しました。プラザ合意と呼ばれる各国の協調政策で、これがバブル経済の発端になつたともいわれますが、それはそれとして、バブル崩壊後も円高傾向はストップせず、80円という以前では考えられないようなレートになったのです。「強い円」に支えられて、日本人が海外旅行にわんさかと出かけ、土産品を買いまくつたのを思い出します。

為替レートがその国の通貨の「強さ」の国際的評価を表すのだとすれば、円への評価はこのときを最高に、たちまち1ドル=100円台に戻り、それ以来二度と100円を切る高値はついていません。 そして三つ目が、97年度の日本の国内総生産(名目GDP) 521兆円です。

日本のGDPは好不況はあったにせよ、この年までは戟後一貫してほぼ順調に伸びてきました。しかし、翌98年年度に514兆4000億円と24年ぶりのマイナス成長になり、その後は、もたもたとした足踏み状態が続いています。

こうしてみると、企業や経済の活力の指標でもある株価がまず頂点から転がり落ち、ついで国力の評価ともいえる円のレートが瞬間最大風速を示し、そのあとで国全体の経済規模が頭を打つ。こうした順番で日本経済のパワーが一つのピークを越えたことが示された10年だったともいえるのです。 実は、以上の三つに加えてさらに、日本に近く訪れる四つめのピークがあります。それは2004年から2009年のあいだに到来する 「人口」 のピークです。一説によれば、この間、日本の人口は過去最高の1億2778万人に達した後、大幅な減少に転じるといわれています。

これらの指標から分かるのは、日本がたとえ現在の長期不況から脱することができたとしても、数十年間連続してきた右肩上がりの発展を今後も期待することはもう難しいということです。 それはすなわち、経済発展を背景に整えられてきた企業年金や公的年金、社会保障制度など、これまで私たちの将来の生活を保障してくれていたさまざまなものが、不確かになろうとしていることを意味しているといってもいいでしょう。 このような社会環境の変化の中で、お金の運用方法についてもこれまでとは根本的に考え方を変える必要性が高まってきたのです。

真っ当な資産運用戦略なしでも済んできたわけ

第二次大戦後、世界で最も安定的に上昇してきたものに、「日本の土地の価格」と「日本人の給料」があるといわれます。そのため、わずかなお金を頭金に目いっぱいの住宅ローンを組み、コツコツと返済しながら、子供への教育に多額の費用をかけ、そのうち定年を迎えるというのが、日本の庶民のこれまでの典型的をフィフスタイルとなってきました。 ローンという名の借金を大量にこしらえても、毎年上昇していく給料がローン返済の負担を軽減し、一方で住宅の資産価値は、地価の値上がりによりどんどん上昇してくれました。そのため、行き当たりばつたりのようなこのライフスタイルが、効率のよい財産形成方法になつていたのです。すこし余裕ができて定期預金に預ければ、4、5パーセントの利子も付きました。もしも1000万円を5パーセントの複利で10年間預けておくことができたならば、それだけで元金の1・6倍、1600万円以上に資産が増えたのです。

さらに退職時には多額の退職金がもらえ、リタイア後には年金も支給されてきました。 つまり、生涯の収入がかなりの程度予想でき、それがそこそこに高い水準だったので、お金を積極的に運用して増やす必要性があまりなかったのです。

日本人にとってのお金の運用とは、「元本保証の預貯金にお金を預けること」を意味してきました。その結果日本人の金融資産の半分以上が預貯金になっています。一方、金融先進国アメリカの個人金融資産の構成割合は、半分以上が株式、債券、投資信託などの有価証券で、預貯金と有価証券の比率が日米では全く逆になっています。 この両者の違いは、「日本人がアメリカ人に比べてリスクをとらない」実例として使われることが多いのですが、そうとばかりはいえません。預貯金に預け入れるという運用方法は、これまでの日本人にとっては、かなり合理的なやり方だったのです。 もちろん、預貯金にまずまずの利子が付いたからといって、物価の上昇がそれをずっと上回るようでは、実質的なお金の価値は目減りしてしまうわけですから、賢い資産の運用とはいえません。

しかし、従来の日本では定期預金にしておくだけでも長期的にはインフレに負けない運用が可能だったのです。 90年代前半まで私たちは、国内の銀行が倒産するなんて考えたこともありませんでした。預け入れ先である銀行や郵便局は絶対につぶれることがなく、元本保証どころか約束通りのかなり高い利息を払い続けてくれたのです。 つまり、本来金融商品が持つはずの 「リスクが少なければリターンは

低く、リターンが高ければリスクも大きい」といった 〝世界の常識″とは異なって 「ミドルリターン・ノーリスクー」という夢のような金融商品が、預貯金という実に簡便な形で提供されていたわけです。 またほとんどの日本人は、海外旅行で使い切れず持ち帰ったわずかなドルなどを除けば、財産としては円しか保有してきませんでした。結果的に、これもまた日本人にとってはたいへん合理的な投資方法であったのです。1ドル=360円だった固定為替レートが73年に変動相場制へと移行して以来、95年に80円という最高値をつけるまで20年間以上、ほぼ一貫して円高傾向が続いたからです。

いったん戻る

もしこのあいだに、蓄財目的で円をドルにたくさん替えて保有していた人がいたら大変でした。ドルがどんどん安くなっていったわけですから、円に戻したときの資産は何分の1かに縮小してしまったはずです。 しかし、これらの状況は今や一変しました。 毎年5パーセント前後は付いていた定期預貯金の金利が、現在はなんと0・1パーセント以下に激減。1000万円という大金を預けても、以前は1年間に数十万円ついた利子が1万円もつかなくなつたのですからお話になりません。これではとても〝お金の運用″とは呼べないでしょう。

また、為替レートも一方的な円高傾向は95年で終わり、その後は1ドル=100円から150円くらいのあいだを上下しています。こういうわけで、〝失われた10年″ のあいだに、お金を運用するための 〝投資″ の考え方が必要になってきたのです。

さあ、やっと本来の意味での資産運用と投資の話になってきました。投資の原則は先はども述べたとおり、「ローリスク・口-リターン」「ハイリスク・ハイリターン」です。このほかにも投資に関して知っておくべきことがたくさんあります。資産運用の基本的知識を身につけ、ぜひ将来のプランの実現に役立てていただきたいと思いますが、その前に、日本人の暮らしの将来像についてすこし説明しておきましょう。

h3「今までどおり」はもうアテにできない/h3

会社を定年退職したら、何の経済的心配もない状態で健康にのんびりと余生を過ごしたい。

それが、将来の生活に対する多くの日本人の願いでしょう。ときおりうれしそうな様子で孫と動物園に出かけたり、夫婦で温泉旅行を楽しんだり……リタイア後の第二の人生を思う存分に堪能しているお年寄り、あるいは両親の姿が、自分自身の理想の将来像だという人も少なくないはずです。では、10年後、20年後に老後を迎えることになる私たちも、こうした悠々自適の生活を送ることができるのでしょうか。<br />

私たちを待っている日本の将来像をみていく前に、ちょっと考えてもらいたいことがあります。老後の生活を送るのに最低限どのくらいのお金が必要となるのか、漠然とでもかまいませんので、自分の頭で計算してみてほしいのです。食費や光熱費その他、日々の生活で不可

欠な出費を思い浮かべ、毎月どの程度のお金があれば足りるのかをイメージしてみてください。いかがでしょうか。ちなみに、財団法人生命保険文化センターが2001年に6000人の男女に対して行ったアンケート「生活保障に関する調査」によりますと、夫婦2人で老後を暮らすために最低限必要となる1カ月の生活費は平均23.5万円、1年間で282万円程度と考えている人が多いようです。

「自分がイメージした額より少ないなあ」とか、「自分はもっと少ない額でもやっていける」などと、感じ方は人それぞれかと思いますが、一般的にはこれだけの額が必要と考えられているわけです。 次に、この老後の生活費が、現状において実際に確保されているのか、会社を60歳で定年退職した夫と、専業主婦の妻からなる、夫婦を例としてみておきましょう。 老後の生活費というと真っ先に思い浮かぶのは年金です。そこで、年金から見ていきますと、00歳以上の元会社員に対する厚生年金等を含めた年金支給額は月額平均23万円(2000年3月時点での社会保険庁調査による) ですので、夫には1年間で276万円が支払われることになります。一方、専業主婦に対しても国民年金が年間約80万円支給されることになっていますが、支給が開始されるのは妻が65歳以上になってからと条件が設けられています。 したがって、妻が65歳未満の場合には、一夫婦に対して1年間で支払われる年金の支給額は、夫に支給される276万円だけということになります。つまり、老後の生活に最低限必要となる生活費も、年金だけでは必ずしも十分とはいえないということです。 しかも、衣食住が満たされるだけの最低限の生活ではなく、旅行やレジャー、趣味などを楽しむ文化的な生活を送るためには、さらに多くのお金が必要となります。その額は、右の調査によれば、平均で月13・8万円と考えられています。年間では、165・6万円が必要となるわけです。

′「年金生活」などという言葉がありますが、平均的な年金支給額では最低限の生活をやっと維持できる程度で、夫婦2人が余裕のある老後を年金のみで送ることは、非常に難しいことがこれらの数字からお分かりいただけるかと思います。 では、今の日本で、ある程度豊かな老後の生活を経済的に保障しているのは何なのかといえば、それは、実は、給料・ボーナスの中からコツコツ蓄えてきた預貯金と定年時に支払われる退職金なのです。現在、民間企業に勤めるサラリーマンに対して支払われている退職金の平均額は、総務省が2002年に行った調査によれば、2791万円となっています(ちなみに国家公務員の平均は2948万円)。また、預貯金に関しては、60歳代の一世帯の貯蓄額が平均で約2000万円といわれています。これだけの資産を年金と併用すれば、世界一寿命が長いといわれる日本人でも、金銭的な悩みはあまりない、ゆとりのある老後生活を送ることが十分に可能でしょう。 それでは、私たちの世代も、豊かな老後を保障してくれるこれだけの退職金や預貯金を手に入れることができるのでしょうか。 まず退職金から検討してみましょう。そもそも、日本における退職金制度は、終身雇用制を前提に定年まで勤め上げた社員に対する褒賞としての意味合いを強く持つものでした。企業からすれば、従業員を会社につなぎ留めておくための鎖のような役割を果たしていたわけです。 しかし、転職が一般的になり、終身雇用制が崩れはじめている現在、従業員を引き留めておくためという退職金制度の目的そのものが、強く疑問視されています。さらに、いわゆる「団塊の世代」が一斉に定年退職の時期を迎えると、莫大な退職金の負担が、企業財政を圧迫する大きな要因となることも認識されるようになりました。

こうした疑問や認識を背景に、退職金制度の見直しが多くの企業で急ピッチに進められています。従来の勤続年数を基本とした退職金の算出方法を改め、企業への貢献度を重視したポイント制へのシフトを図る企業や、退職金制度そのものを廃止する企業が現れはじめているのです。定年まで勤め上げれば、確実に相当額の退職金がもらえて、老後の生活資金にあてることができた、という時代は過去のものになりつつあるわけです。 積み立て式の預貯金についても、これからはあてにしにくくなるかもしれません。企業の給与システムが、年功序列型から個人の能力を重視した年俸制へと移行しようとしているなかで、預貯金の原資になるはずの給料・ボーナスが、退職金と同様、不確実なものとなるからです。 年功序列型の賃金体系のもとでは、会社の業績がよほど悪化しない限り、給料が毎年確実に上昇していきますから、それに応じて預貯金を増やしていくことができました。しかし、年俸制は、能力や実績に応じて貸金を定める方式です。ドーンとアップすることもあれば、逆に大幅にダウンしてしまうこともありえます。給料が増えればもちろん預貯金もそれだけ増やせるでしょうが、下がれば、生活費にあてるため預貯金を取り崩さなければならないかもしれません。ですから、退職を迎えたときに、確実に老後のための資産が預貯金として蓄えられているとは限りません。年々上昇する給料・ボーナスを前提とした預貯金による老後のための資産形成が、今後は成り立ちにくくなるわけです。 このように、これまで公的年金の不足分を補い、老後の暮らしを保障する役割を果たしてきた退職金、預貯金のいずれに対しても、将来は、過度の期待をしてはいけないといわざるをえません。私たちの両親の世代が、当然のように定年後の支えとしてきたものに、私たちはもはや頼るlしとができなくなったのです。 もしかしたら、ここまで読まれて、「それなら、もうとにかく生きていくことができればいいよ。65歳になれば、妻の年金も支給されてどうにか最低限の生活は保障されるんでしょう。それまで、何とか頑張るよ」とあきらめ顔でつぶやく人もいるかもしれませんね。 しかし、実をいうと、老後の生活を守る最後の砦である公的年金でさえも、決して安泰ではないのです。 日本の年金制度は、現役世代が高齢者への年金給付を支える賦課方式の形をとっています。しかし、少子高齢化が進む中で、今後もこの方式により年金制度を維持するとすれば、老後の年金給付額を削減するか、働く世代の保険料の負担を増やすしか方法がないといわれています。 いずれにせよ、現役世代にとっては、今以上に条件が悪くなることはあっても、よくなることはないでしょう。事実、2004年度に予定されている次回の制度改正に向けて、年金支給額を現状から最大4割削減することも検討されています。退職金がダメ、給料・ボーナスをこつこつと積み立てていく方法もあてにはできない、おまけに年金も大幅にカットされる!将来に対して何の希望も持てなくなるようなことを、大げさに並べ立てているように見えますが、ここまで述べてきたことは現在の日本の社会・経済状況を冷静かつ客観的に検討したうえでの判断です。それどころか、長引く不景気からの出口が一向に見えてこない今の日本の状況では、この程度の予想はむしろ控えめといってもよいかもしれません。エコノミストの中には、「日本という国家そのものが破産して年金ももらえなくなる」などと、もっと過激な主張を行っている人もいるほどです。 将来の生活を企業まかせ、国まかせにする考え方は、もう捨てましょう。「国にも企業にも頼れない。自分や家族の生活を守れるのは自分だけだ」という気概を持って、自らの手で豊かさを勝ち取っていこうではありませんか。

これまで、資産づくりといえば

これまで、資産づくりといえば、倹約・節約を心がけて、会社の給料やボーナスの一部を少しでも多く預貯金にしていくという方法が一般的でした。毎年こつこつと貯め続けていけぼお金に利子がつき、定年退職するころには、かなりの財産が自然に蓄えられ、余裕のある老後生活を送ることができました。「お金を増やす」という意味では何の苦労も工夫もいらない、いわば牧歌的な時代だったわけです。

しかし、前項で見てきたように、これから10年後、20年後に老後を迎えようとしている人たちが、こんなやり方をしていては、宝くじにでも当たらない限り、いつまでたっても豊かな老後のための資金を手に入れることは難しいでしょう。「お金を増やしたい!」と本当に願うのなら、主体的に、意識的にそのための努力をする必要があります。これまで、あまり考える必要のなかった資産運用に関するさまざまな知識をしっかりと頭にたたきこみ、実践しなければならないのです。

「資産運用」というと、デリバティブだのなんだのといった最新の難しそうな金融商品のことを勉強し、それを駆使しなければならないのではないか、と不安に思う人もいるかもしれませんが、決してそんきとはありません。要は、ギャンブルにも等しい「投機」ではなく、堅実な「投資」を心がけ、その基本を守っていけばよいだけです。そうすれば、自然に将来のための資産が手元に蓄えられていくはずです。

ここではその基礎の基礎と誉考え、「自己責任時代のお金の増やし方」について大まかを指針を述べておきましょう。左下から右1に向かつて上昇していく曲線のイメージです。これは、高度成長期から翠代に日本が不景気を迎えるまで上昇し続けたサラリーマンの平均収入のイメージです。これまでは、サラリーマンとして長年、企業の中で時を送るだけで、この収入曲線のように給料が1がっていったわけです。

しかし、これからは違います。先述したように、年俸制や能力給きの導入により、ただ企業で年を重ねるだけで給料が1がつていく時代は終わりを迎えつつあります。これからは、みなさんが自分自身の手でこの収入曲線を作りあげていかなければなりません。そのために、

まず第一に意識すべきことは、明確なキヤリアプラン」を持つこと、具体的には「サラリーマン」ではなく「ビジネスマン」を志向する、ということです。

これまでは、どの会社に属しているかによって、本人がどの程度収入が得られるか、老後のための財産がどの程度蓄えられるかが大きく左右されてきました。要するに、他人より多くの収入を得たければ、給料の高い安定した会社に入社し、あとは「サラリーマン」として与えられた仕事をまっとうしていればよかったのです。 しかし、グローバル化が進み、企業間の競争がますます激しくなる今後のビジネス社会で、企業が必要としているのは専門的知識・能力を待ったスペシャリストとしての人材です。このような「スペシャリストの時代」 においては、会社が命じる仕事をただこなすだけのサラリーマンは、年俸制のもと、低額の報酬しか得ることができなくなるでしょう。逆に、経営者的観点から、自分独自のスキルを会社のために効果的に活かすことができる人は、これまで以上に多額の報酬を得ることが可能となります。 また、スペシャリストとしてのキャリアやスキルが身についていれば、世の中がデフレになろうが、インフレになろうが、その時代時代でふさわしい収入を得ることができるはずです。つまり、時代の流れに左右されず、生活設計を立てていくことが可能となるわけです。

これが、「ビジネスマン」 になるということの意味です。

自分を磨き、常に通用する仕事の力を身につけておく。なんといっても、これがあなたのライフプラン実現のための原動力です。そうした努力をしたうえで、さらに長期的なマネープランを立てるのです。 こうしておけば、万一失職したり、病気になつたりしたときでも、築いてきた資産が助けてくれることになるでしょう。 あらかじめ申し上げておきますと、資産を有効に活用し、充分なリターンを得るためには、預貯金だけでなく、株式や債券なども積極的に活用していくことがカギとなつてきます。 しかし、預貯金とは異なり、株式や債券のよう金融商品には、それぞれの商品の性質に応じてさまざまなリスクがつきものです。購入した株式や債券が企業の倒産で紙切れになる、投資した財産が全く無価値になる「デフォルトリスク」などはその最たるものです。したがって、それらの商品が持つリスクを可能な限り低減させながら、そこから得られるリターンで確実に資産を増やしていく戦略を身につけなければなりません。そうしたマネー戦略を実践するうえで、どうしても必要になるのが、分散投資と呼ばれる投資のテクニックです。分散投資とは、投資対象を一つに限定せず、手持ちの財産を株や債券、外貨など数種の金融商品に分散して投資し、リスクを減らしながら資金を運用していく方法です。ある程度は誰でもやっていることですね。しかし、商品の特徴やリスクを理解しながら意識的に行っているか、と問われれば、どれだけの人が自身を持って「イエス」と答えられるでしょうか。 資産を最も効率的に増やすやり方は、価値が上昇し続けるものにすべての資産を集中投資する方法のように一見思えます。たとえばA社の株の価値が上がり続けると考えるのならば、A社の株にすべて投資すればよいのです。予想通りA社の株価が上がって2倍、3倍となれば、自分の財産がそのまま2倍、3倍となるわけで、確かにこれは万々歳で、いうことは何もありません。 しかし、こうした方法では、逆にA社の株価が下落していったらたいへんです。最悪の場合にはA社が倒産して、あなたの財産すべてがゼロになってしまうかもしれません。

そこで、A社の株だけでなく、B社やC社の株、あるいは債券やほかの金融商品も利用しておこうというのが分散投資の考え方です。

資産が大きく減ってしまうのを防ぐためにリスクを分散させるこのような発想は、欧米では非常にポピュラーな考え方で、「すべての卵を一つのバスケットに入れるな」という格言が、あるほどです。持っている卵を全部一つのバスケットに入れておくと、バスケットを落としたときに、卵が全部割れてしまう。 資産運用も同じだ、というわけです。 かつてイタリアのプロサッカーリーグで4連覇を果たし、当時最強のチームといわれていたACトリノの選手18人を乗せた飛行機が墜落し、全員が死亡するという事故がありました。1949年に起きたこの悲劇によって、主力メンバーを一挙に失ったトリノは、その後、長く低迷を続けることになりました。リスク回避の重要性を伝えるエピソードとして引用され

ることの多い話です。

最近、テレビや雑誌でも見聞きすることが多くなった「ポートフォリオ運用」とは、目標に合わせて資産の最適な配分を考えながら、分散投資を行っていく方法のことです。

上記 「ほんとうに真っ当な資産運用」 FPアソシエイツ&.コンサルティング株式会社 代表取締役 神戸 氏 著作